コラム

陶器と陶磁器の違い|見分け方を簡単に解説

陶器と陶磁器の違いが分からない方必見!素材や製法、特徴を徹底比較して、自分にぴったりの器を見つけましょう。今回の記事で陶器と陶磁器の違いが一目瞭然!

陶器と磁器の違い

素材の成分が異なる

陶器は一般的に粘土を主成分とし、石英や長石を少量含むことがあります。これに対して、磁器は粘土に加えて高い割合で長石やカオリン(高級な白い粘土)を含んでいます。このため、磁器は陶器よりも密度が高く、質感が硬くなります。

焼成温度が高い

磁器の製造には、陶器よりもはるかに高い温度(通常は1200度以上)での焼成が必要です。この高温で焼くことで、磁器はガラス質の質感を持ち、非常に硬く、透光性のある結果になります。一方、陶器は約800度から1000度で焼かれ、比較的柔らかく通気性があります。

透水性の違い

陶器は焼成温度が低いため、微細な孔が多く残り透水性があります。これにより、陶器は水や湿気を少し吸収する性質があります。対照的に、磁器はその密度と焼成温度の高さから、ほとんどまたは全く水を吸収せず、非常に低い透水性を持っています。

使用感と表面の仕上がり

磁器はその製造過程で非常に滑らかで光沢のある表面を持つことが多く、高級な食器や美術品として用いられることがあります。それに対し、陶器は表面に自然な質感が残ることが多く、温かみのある印象を与えるため、日常使いの器や民芸品としての評価が高いです。

耐熱性と強度

磁器は高温で焼成されるために非常に強い耐熱性を持ち、急激な温度変化にも耐えることができます。これにより、オーブンや電子レンジでの使用が可能です。一方、陶器は焼成温度が比較的低いため、急な温度変化に弱く、割れやすいことがあります。

陶器と磁器の見分け方

見た目の色と透光性

陶器は通常、色が自然で温かみがありますが、磁器は白くて光沢があることが多いです。磁器は透光性があるため、薄い部分に光を当てると光が透過するのに対して、陶器は光を透過しません。これは磁器が非常に密な材料であるために起こる現象です。

表面の質感

磁器の表面は滑らかで光沢があり、高級感が感じられるのが特徴です。一方で、陶器の表面は少し粗く、手触りが自然であることが多いです。この手触りの違いは、素材の密度と焼成温度の違いによるものです。

重さと硬さ

手に取ったときの重さで見分ける方法もあります。磁器は陶器に比べて重く、また硬いです。これは、磁器が陶器よりも密度が高く、材料がしっかりとしているためです。硬さは、軽く指で叩いたときの音の響きで判断することができます。磁器は高い「カチン」という音がし、陶器は比較的低い「コトン」という音がします。

水の吸収性

陶器と磁器の水の吸収性の違いも見分ける手がかりになります。陶器は水を吸収する性質があるため、水を少量落としてみて、しみ込む速度を見ます。磁器は水をほとんど吸収しないので、水滴がそのまま残ることが多いです。

裏面の見た目

製品の裏面を見ることも一つの方法です。磁器の裏面は非常に滑らかで整っており、製品全体と同様に光沢があることが多いです。一方、陶器は裏面にも自然な質感が見られ、時には小さな穴や凹凸が存在することもあります。

陶磁器とは

陶磁器は、粘土を主材料とし、1200度以上の高温で焼成される硬質の器物です。これにより、素材は水を吸収しにくい非常に堅固なものになります。主に食器や装飾品として用いられ、その製法や種類には多様性があります。

日本の陶器・磁器の種類

日本には数多くの陶器・磁器の種類がありますが、代表的なものには以下があります。

波佐見焼

波佐見焼は長崎県波佐見町で生産される磁器で、400年以上の歴史を持ちます。特に日用品としての実用性と現代的なデザインが融合されていることで知られ、明るい色使いとモダンなパターンが特徴です。波佐見焼は耐久性も高く、日々の生活で気軽に使えることから、若い世代にも支持されています。また、海外での評価も高く、国際的なデザイン展でも多くの賞を受賞しています。

有田焼

有田焼も日本の代表的な磁器の一つで、特に色彩技術において革新的な進化を遂げています。染付や色絵の技法を用いて、独自の美しいパターンが描かれます。元々は伊万里焼として同じ技術で製造されていたため、伊万里焼と有田焼はしばしば混同されがちです。

伊万里焼

伊万里焼は日本が世界に誇る磁器の一種で、特に彩色技術に優れています。その繊細で美しい絵柄は「染付(そめつけ)」、「色絵」と呼ばれる技法で施され、主に高温で焼成されることで色彩が鮮やかに保たれます。海外でも高い評価を受けており、特にヨーロッパの宮廷で愛されました。

京焼

京焼は京都で発展した焼き物で、伝統的な技術と現代的なデザインが融合しています。茶道具として使われることが多いのが特徴で、手作業による繊細な作業が多いため、一点一点が独自の表情を持っています。また、色彩豊かで装飾性が高いことも特徴の一つです。

美濃焼

美濃焼は岐阜県で生産されており、その生産量は日本最大を誇ります。多岐にわたるスタイルと実用性を兼ね備えたデザインが特徴で、現代的な感覚を取り入れた商品も多数あります。美濃焼は特にその手頃な価格と高い品質で、広く一般家庭に受け入れられています。

どちらを選ぶべきか?

陶器と陶磁器の選び方は、用途や好みによります。陶器は、風合いが豊かで温かみのあるデザインが好まれる方や、湿気を逃がす料理に向いているため、それらの用途を重視する方におすすめです。

一方、陶磁器は、強度や耐熱性が高く、美しいデザインが施されることが多いため、普段使いの食器やインテリアアイテムとして求める方に適しています。

最後に、陶器と陶磁器の違いを理解した上で、自分の好みや用途に合った器を選ぶことが大切です。どちらの素材も独自の魅力がありますので、自分にぴったりの器を見つけて楽しんでください。